2015年11月3日火曜日

「磯崎新が日本の建築界にもたらしたこと」を寄稿しました

『建築ジャーナル』2015年11月号に「戦後建築の70年」という企画があり、磯崎新さんについて書かせていただきました。磯崎さんと出した『日本建築思想史』の後に、編集長から依頼されたものです。いわば芋づる式の仕事。内容については現物を見ていただくことにして、もう少し書きたかったけれど全体構成上あまり突っ込めなかったポイントに、磯崎言説と西洋建築史学の並走関係があります。一番わかりやすいのが「マニエリスム」。1970-80年代、日本における西洋美術史学・西洋建築史学において、ルネサンス概念のリヴィジョンとして「マニエリスム」という用語がかなりもてはやされましたが、同時代磯崎のエッセイにもこの情報はかなり積極的に取り入れられています。たとえば、ジュリオ・ロマーノのような掟破りの作家に、磯崎が熱い眼差しを向けるのは、きわめてわかりやすい例。このような時空を超えた建築家のシンクロ状況をきちんと追っかけると、もうひとつの現代建築家論/西洋建築史学史が書けるはずなんです。書く時間があれば、ですけれど。
『ジャーナル』誌の最後に触れた「ホワイトハウス」、自宅から散歩がてら行ってきました。いまはカフェになっています。コーヒーを一杯飲みながらじっくり鑑賞することができました。