2018年1月19日金曜日

『CASABELLA JAPAN』879号に寄稿しました

今回のメインテーマは新古典主義あるいは合理主義です。そう言えば、この間パリで、「球体と建築」という展覧会があったので覗いてみました。内容は、古代に2,3の例を引いた後、やはり大きな流れを作るのは18世紀からという筋。カザベラ稿の内容とも一致するので一安心。ちなみに、21世紀の例は僕には理解不能でした。さて、稿にも登場するニュートンの偉業を記念するプロジェクトですが、ブレーにかぎらず、当時、実にさまざまなアイデアがあって、ロンドンの未完プロジェクトなんかとてもおもしろかったです。建築に再現される球体には天球と地球の両モデルが存在すること、大々的な再現は20世紀に至り、万博パヴィリオンとして実現されていくこと、などを理解しました。残念ながら図録が用意されていなかったので、本展覧会で得られた情報はパンフだけが頼りなんですが、通常の建築展とは一味違った視点がかなり新鮮で、カザベラ稿を脱稿した後の僕にとってはタイムリーでした。

2017年11月26日日曜日

『CASABELLA JAPAN』877号に寄稿しました

今回はバロック、古典主義の広がりがテーマ。以下、余談。日本から見ると、イエズス会の建築がこのテーマに引っかかりますね。ローマにあるイエズス会の総本山がイル・ジェズと呼ばれる教会ですが、このファサードは造形的には平板でローマ・バロックとはあまり縁がないのですが、世界的普及度から言えば、平板であるからこそ真似がしやすかった。結果、ベルニーニやボッロミーニの建築がローマのみにとどまる傑作であるのに対し、イル・ジェズのファサードは世界中に広がります。主にスペイン人やポルトガル人が広めたキリスト教建築も平板なファサードに、ゴテゴテと装飾が加えられているケースが多いですね。このようにローマ・バロックを相対視すると、世界的に普及した古典主義の流れが見えてきます。そこにイギリス、アメリカのパラーディアニズムも重ねて見ると時代論としてうまく整理できるような気がします。

2017年10月13日金曜日

中国美術学院レクチャー

杭州にある中国美術学院で、近代建築と伝統に関するレクチャーをしてきました。中国訪問は実質はじめてで、上海空港に降り立ち、地下鉄、新幹線、タクシーと乗り継ぐ行程は一人ではまず無理。こちとら、なんのインフォメーションも持たずに出国しているわけで。迎えに来ていただいた計さんに感謝。とにかく駅の空間がでかい。ブレーの描く新古典主義のスケール。そのでかさを人が埋め尽くしているのだからやはり大国です。大学キャンパスは西湖の畔ではなく残念でしたが、ワン・シュウ、隈研吾の作品が見られたのはよかったです。美術学院学生の熱心な取り組みにも素直に感心させられました。招聘していただいた助川剛さんに感謝します。

2017年9月26日火曜日

安藤忠雄展

国立新美術館で開催される安藤忠雄展の内覧会に行ってきました。さすが顔の広い安藤さんだけあって、さまざまな分野から多くの人が駆けつけていて、会場は大混雑。ロビー空間、暑い。人混みをかき分け、ようやく一廻りしての感想。新美術館のあの巨大なスペースを建築コンテンツだけでよく埋めたなぁと感心させられました。展示されていた数多くの図面や模型も大変見ごたえがありました。これらは図録に収録されていないので、建築の専門家は現地に見に行くしかないですね。それから、図録の論考が浅田彰さん、っていうのもなかなかサプライズでした。展覧会タイトル「挑戦」の通り、まだまだこの先が楽しみな建築家です。

2017年8月21日月曜日

カザベラ・ジャパン誌連載「定石を打ち破る」

カザベラ・ジャパン誌874号が送られてきました。今回は「定石を打ち破る」と題した論考を書かせて頂きました。メインテーマは16世紀マニエリスムの建築です。個人的に、マニエリスムに漂う知的な印象は1980年代のポストモダニズムのおかげだと考えています。だって、マニエリスムの造形が知的で、その後のバロックの造形がそうでない、っていうのは歴史的に見ておかしいですから。そんなわけで、マニエリスムを語るのにはポストモダニズムが欠かせない。当然、論考の締めには建築家イソザキが出てくるのです。この記事のためにわざわざつくばセンタービルを再訪しました。学生自体に見たときの印象とはまた違って見えました。どう違ったかについては、カザベラ誌を御覧ください。

2017年7月1日土曜日

「イデアは永遠に」

『カザペラ・ジャパン』誌872号が出ました。わたしの連載《建築家はどのように世界を見つめたか》の第2回目は「イデアは永遠に」と題し、建築家業のもっとも象徴的な部分、すなわち、世界に秩序を与えることにフォーカスしました。語られるメイン・コンテンツはルネサンスあるいは古典主義になりますが、本質的な部分では近現代を読む材料にもなります。こうした時代のクロスリファレンスは建築史の面白さを伝えるのにかなり重要なはずなのに、専門性を意識する学者ほど手を出しにくいという実態もあります。本連載では、そんなリスクに果敢に挑んでみようと思っています。

2017年6月21日水曜日

『建築 未来への遺産』

東京大学出版会から『建築 未来への遺産』が送られてきました。これまで単行本化されてこなかった鈴木博之先生の論考を選りすぐり、あらためて世に問うべく出版企画が進められてきました。まことに僭越ながら私も解題を寄稿させていただきました。鈴木先生がさいごに尽力された東京駅丸の内駅舎のドーム屋根が、ひとつの鈴木ワールドを象徴するように表紙に輝き、たいへん感慨深いものがあります。収録されたテキストの端々に鈴木節がうかがえます。ぜひ多くの方に読んでいただきたいなと切に思います。